腎嚢胞

腎嚢胞じんのうほう

腎臓にできる水の溜まった袋を腎嚢胞と言い、1つまたは複数できることもあります。
別の目的で撮影したCTや検診の超音波検査など無症状で偶然に見つかることが多いですが、非常に大きくなると腰部の違和感を感じたり、嚢胞が破裂すると痛みや血尿が見られます。多くはそのままにしておいていいものですが、まれに嚢胞の壁に癌ができることがあります。
薄い壁で囲まれたただの水膨れ(単純性嚢胞)であればこれ以上の検査は不要ですが、壁が厚かったり嚢胞の内部が不均一である場合(複雑性腎嚢胞)は癌の可能性を否定できず、造影剤を注射してのCTやMRIで嚢胞の状態を詳しく評価します。
また腎嚢胞とは異なる病気として遺伝性にできる多発性嚢胞腎があります。これは小児期から両側の腎臓に多数の嚢胞がみられ、これが年齢とともに増えていき腎臓を押しつぶして腎機能障害を進行させます。

治療法

単純性腎嚢胞の場合は原則無治療です。非常に大きくて体を圧迫する場合には、皮膚から嚢胞に針を刺して嚢胞内の水を吸い出すことがあります。
複雑性腎嚢胞の場合は詳しく評価した結果、癌を強く疑う場合には腎臓癌の手術と同様に、嚢胞または嚢胞と腎臓をまとめて摘出する手術を行います。
多発性嚢胞腎の治療は、腎臓や嚢胞の大きさによって嚢胞の増大を抑える薬を投与します。